独自の製造工程
泡盛は、全麹でつくられます。
その黒麹菌が繁殖しやすい硬質米(タイ米)を利用しています。
恩納岳からの伏流水を使用。沖縄ではめずらしい高度30~40の軟水です。
※軟水に近いほど、酒の味がやわらかく、そして甘く感じるようになります。
米の表面に付着している糖を洗い流します。
原料米ごとに水分を計り、洗米、浸漬後の水分を一定にするため、崎山酒造廠では、毎日、浸漬工程を変えています。
米を蒸し始めます。
恩納岳からの伏流水を使用。沖縄では珍しい軟水から生じる軟らかい蒸気で良質の蒸し米に仕上げます。米一粒一粒にしっかり熱が伝わるように丁寧に蒸し上げることで、麹菌の繁殖を容易にし、麹菌が生産した色んな酵素を多量に造ります。
蒸し上がった米を冷やし、種麹を付け、米麹をつくっていきます。黒麹菌が蒸し米に繁殖する段階です。
米1トンに対して種麹を200~300gほど加えます。そして麹菌を繁殖させます。季節によって異なりますが、18~25時間ほど要します。
三角棚と呼ばれる通風性のある麹棚で、麹菌を増やしていきます。麹菌が着生し、菌が蒸米の中に入っていくと酵素をつくりだします。
通常の製麹は40時間ほどですが、崎山酒造廠がこだわる老麹(三日麹)は、さらに時間をかけてつくるため、さまざまな香味成分の元が生成されていきます。
米麹と水だけの全麹仕込みの泡盛。それに種もろみと蔵に住み着いた家つき酵母とよばれるものが混ざり合って状態により25~30日かけて独特のもろみに仕上がっていきます。
崎山酒造廠が、仕込みにもちいる水は、恩納岳の伏流水。この軟水と老麹の相性が良いため、濃厚でふくよかなもろみが生まれます。仕込みタンクの中では、麹菌と酵母の共同作業で、麹の酵素がブドウ糖、アミノ酸、有機酸、高級脂肪酸をつくり、酵母がそれらを栄養源にし、アルコール分をつくります。多くの香味成分もこの段階でつくられます。
熱をあたえながら行う蒸留。この過程で「アルコール分(泡盛)」と「上質のもろみ(もろみ酢の原料)」に分かれていきます。
蒸留前のもろみには、古酒の旨味や風味の形成に関わる微量成分が豊富に含まれています。それらを常圧間接加熱蒸留することで「高級アルコール」「香気成分」「高級脂肪酸」などを多く含んだ濃厚な泡盛をつくっています。
蒸留後の泡盛は、簡易濾過を行い、出荷までのあいだ貯蔵・管理をしていきます。
香りや旨味成分を多く含んでいる蒸留後の泡盛。崎山酒造廠では、旨味成分をほどよく残すために、極力、手をかけないやさしい濾過を行います。
やさしい濾過ができるわけ
軟水の山清水は、泡盛の旨味成分(油分成分)と馴染みが早く、やさしい濾過ができるのです。
泡盛はその後、六ヶ月以上寝かせてから出荷します。そして三年以上寝かせたものを「古酒(くーす)」と呼びます。
長期製麹をする三日麹、もろみを濃厚に含んだ仕込み、長期発酵のもろみ、常圧蒸留、そして無濾過または軽度の濾過。これらのこだわりがあって、濃厚な酒質が実現し、熟成させることができるのです。