泡盛の特性は何と言っても熟成にあります。
泡盛の古酒文化を自然な形で造り上げてきた方が
謝花良政さん。
謝花さんは昭和4年本部町生まれの現在82歳。
整備工としての長年の技術を活かして本部自動車修理工場として独立をされたのが
1956年6月でした。
創業の記念に、何か記念になるものをと思い立って始められたのが
以前からの趣味で集めていたシャム南蛮甕への泡盛の詰めでした。
それが50年を超える古酒づくりへの趣味へと繋がっていく事は
謝花さんも意識されてなかったようです。
整備工場の経営で多忙の中、いつの間にか泡盛を詰めておいたのも忘れかけていた頃、
ふと甕に詰めた泡盛を思い出し、開けて飲んでみると
琥珀色に輝いた泡盛は、華やかな香りと上品な甘さを持ったなめらかな古酒へと変化を遂げていたのです。
今でもその時の感動と、泡盛の古酒の旨さが忘れられないといいます。
元来の凝り性の謝花さんの趣味のひとつに「古酒づくり」が加わった瞬間でした。
私達は数年前から、古酒づくりの学びで、年に数回、謝花さんの元を訪れます。
成功談議も勉強になり、良いけれど、失敗談義はとにかく面白くて、
何よりも、謝花さんの人生談義は奥深くて面白いのです。
何とも奇遇ですが、私は1956年5月生まれです。
謝花家の1956年の泡盛が今も50年の時を経て、旨さを増し、熟成を重ねていることを思いますと
私も泡盛の熟成に負けずに、人間熟成を重ねていかねばと思うのです。