誇りある造りの現場

沖縄県内には47の酒造所があるが、
酒造所の朝は早く夜遅くまで続く厳しい仕事ながら、
どの蔵の職人たちも、この歴史と伝統ある泡盛造りに誇りをもって働いている。

泡盛に欠かせない黒麹菌(くろこうじきん)は毎日の気温や湿度にも、微妙に変化し、
季節ごとの仕事も少しずつ変わるため、

職人は感性を研ぎ澄ましながら、麹造りや仕込みと向きあい、
自然に逆らわずに、愚直に仕事を続けることが要求される。

わが社代表の崎山も、高校卒業後、
全国の酒蔵の子弟が学ぶ東京農業大学で醸造学を専攻した。

卒業後も一旦着沖後、東京北区王子にあった醸造試験場で学んだ。
(現在は広島県西条市に移転)

沖縄へ戻り、意気揚々と泡盛造りの現場に入ったものの、
毎日が熟練したコウジサー(杜氏)に教わるばかりの日々だったと回顧する。

その時の挫折感こそが泡盛造りへの冷静な目を養い、戻るべき基本になっていると話す。

それは、ひたすら、実践と現場を見る力、感じる力を優先しながら
現場とのコミュニケーションを大事にしていることに表れている。

それがチームワークを大切にする崎山酒造廠のより良き社風につながっていると思う。

琉球の先人たちから受け継がれた伝統の造りにこだわりながらも、
若い職人たちとの現場は「探求心」に燃え、造りを進化させ続けている。

それは、とりもなおさず、代表の「失敗してもいいからやってみようよ」と話す
おおらかさと、柔軟に対応できる若い職人たちの現場が活気であふれているからである。

働く職人たちの一生懸命で丁寧な仕事が、旨(うま)い泡盛「松藤」を生み出している。

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琉球泡盛は約600年の歴史の中で、先人たちが常に「造りの現場」で創意工夫を凝らし、
日本最古で独自の蒸留酒文化を育(はぐく)んできた。
それは絶え間ない好奇心の中で実践の数々が形あるものになり、
誇りをもって愚直に継承されてきたからにほかならない。